アイリーア®による治療法
血管新生(けっかんしんせい)の原因には、VEGF(ブイイージーエフ)という物質があります。アイリーア®はVEGFの働きを抑える作用をもつ、抗VEGF薬といわれるお薬のひとつです。アイリーア®の注射により新生血管を縮小させることで、房水(ぼうすい)の流出が改善し、眼圧(がんあつ)が下がることが期待できます。
前緑内障期におけるアイリーア®の有効性および安全性は確立していません。
そのため、前緑内障期に対してアイリーア®の使用は推奨されません。
治療のスケジュール
アイリーア®は病院で目に注射してもらうお薬です。
アイリーア®を目の中に1回注射します。
病状に応じて、主治医の判断によって再投与※がおこなわれます。
※投与の間隔は1ヵ月以上あけておこなわれます。
前緑内障期におけるアイリーア®の有効性および安全性は確立していません。
そのため、前緑内障期に対してアイリーア®の使用は推奨されません。
アイリーア®による治療前の注意
[注射前の確認事項]
アイリーア®は医師が目に注射するお薬です。
注射に際し、消毒薬、麻酔薬(ますいやく)、抗菌薬(こうきんやく)などを使います。今までに、お薬や検査などでかゆみ、発赤などのアレルギー症状を起こしたことがあれば、あらかじめお伝えください。
[抗菌薬の点眼]
注射する予定の3日前から、あらかじめ処方された抗菌薬を自宅で点眼します。使用方法は担当医の指示に従ってください。感染を防ぐために大切な点眼です。忘れずに点眼しましょう。
アイリーア®による治療当日のながれ
アイリーア®による治療後の注意
アイリーア®による治療後は、感染症を防ぐために、抗菌薬を3日間は点眼します。
もし、次のような症状が起きた時には、感染症がうたがわれることがありますので、すぐに担当医に連絡しましょう。
- 目の痛みや熱感
- 目やに
- 充血が悪化する
- そのほかいつもと違うと感じることがあったとき
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- 目のごろごろ感を感じることがあります。
時間がたてば、気にならなくなりますが、続くときには、病院にご連絡ください。
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- 目にかゆみや痛みなどの不快感があっても、手でこすらないでください。
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- かすんで見えることがあります。回復するまで機械類の操作や自動車などの運転は控えてください。
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- 洗顔、入浴、洗髪の開始時期については、担当医の指示に従ってください。
アイリーア®の副作用について
日本国内で実施された血管新生緑内障(けっかんしんせいりょくないしょう)[開放隅角(かいほうぐうかく)緑内障期(第Ⅱ期)以降]の患者さんを対象とした13週間の臨床試験(VEGAベガ試験)では、アイリーア®を投与された50例(アイリーア®群27例、偽注射群23例)のうち12例(24.0%)に副作用が認められました。主な副作用は、結膜出血(けつまくしゅっけつ)3例(6.0%)、注射部位疼痛(とうつう)3例(6.0%)でした。
さらに、国内で実施された血管新生緑内障[開放隅角緑内障期(第Ⅱ期)以降]の患者さんを対象とした5週間の臨床試験(VENERAベネラ試験)では、アイリーア®を投与された16例のうち3例(18.8%)に副作用が認められました。主な副作用は眼痛(がんつう)2例(12.5%)でした。
偽注射:薬液(アイリーア®)を投与せずに針のないシリンジを目に押し付ける方法
前緑内障期におけるアイリーア®の有効性および安全性は確立していません。そのため、前緑内障期に対してアイリーア®の使用は推奨されません。
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- 薬剤を目に注射するときやその後に、細菌などが目の中に入ることがあります。
そのような場合、強い炎症(眼内炎(がんないえん))が起こると視力障害の原因となることがあります。
アイリーア®治療後は、抗菌薬の点眼など、必ず担当医の指示に従うようにしてください。
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- 国内外の臨床試験で、脳卒中が報告されています。
以前に、脳卒中または一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)を起こしたことのある方は、担当医にお知らせください。
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- 上記の眼内炎、脳卒中のほかに、眼圧上昇、硝子体(しょうしたい)はく離、外傷性白内障、網膜(もうまく)出血、網膜色素上皮裂孔(れっこう)、硝子体出血、網膜はく離、網膜裂孔、網膜色素上皮はく離があらわれることがあります。
アイリーア®による治療後、目やからだに何か異変を感じた場合は(いつもと違うと感じたら)、すぐに担当医にご連絡ください。