Authentication Modal

DMEにおけるアイリーアの長期臨床エビデンス

DMEの患者さんの多くは、視力低下により、日常生活のさまざまな場面で不便を感じる機会が多く、日常生活に必要な視力の改善・維持が期待できる治療が望まれます

イラストイメージ

DME患者さんの約72%は日常活動のさまざまな面で困難を報告しており、特に読書(57.0%)と運転(38.8%)での不便さを訴えていました

DMEによる日常活動に対する影響(海外データ)

グラフ:DMEによる日常活動に対する影響(海外データ)

対象:
2017年1月16日から5月31日に、フランスの複数の眼科施設において抗VEGF薬またはステロイドの硝子体内投与を受けたDME患者116例

方法:
20例を対象とした予備的な定性調査を実施後、116例を対象に書面アンケートおよび電話インタビューによる定量調査を実施した。DME患者における疾患および治療の経験、日常生活活動における制限、治療医との関わり、疾患への恐れなどの探索を目的として実施した。

利益相反:
著者らに、Bayerよりコンサルタント料を受領していた者が含まれる。

Fajnkuchen F, et al.: Acta Diabetol. 2020; 57(9): 1081-1091.

抗VEGF薬治療において、良好な視力の達成がnAMD、DME患者さんにとって最も高い治療ニーズでした

nAMD(neovascular age-related macular degeneration):滲出型加齢黄斑変性

nAMDまたはDME患者さんが抗VEGF薬治療に求める内容(海外データ)

グラフ:nAMDまたはDME患者さんが抗VEGF薬治療に求める内容(海外データ)

対象:
2018年8月~12月にアメリカ・イリノイ州の大学眼科3施設において抗VEGF薬の硝子体内投与を受けた18歳以上のnAMD患者またはDME患者300例

方法:
治療に関連する5つの属性(視力の変化、患者が支払う治療費、使用薬剤の適応の有無※、治療頻度、保険会社が支払う治療費)をそれぞれ2~3のレベルに分け、各属性に対し1つのレベルを割り当てた仮想の治療プロファイルを48種類生成した。調査対象の患者は、D-optimal designアルゴリズムにより割り当てられた8つのペアワイズ比較を実施するため、与えられた2種類の治療プロファイル間の優先順位を示した。各属性の効用値は離散選択型コンジョイント分析を用いて生成し、患者コホート全体、および人口統計データ(年齢、最終学歴)で階層化されたサブグループ別に各属性の相対的重要性を推定した。

利益相反:
著者にRegeneronより助成金を受領している者が含まれる。

※:
米国ではベバシズマブが適応外使用されているため、本研究における治療関連属性の1つとして使用薬剤の適応の有無が設定されています。
ベバシズマブは日本においても未承認であり、本研究から承認外薬の推奨を行うものではありません。

Bhagat D, et al.: Clinical Ophthalmology. 2020; 14: 2975-2982. Reprinted with permission from the original publisher Dove Medi cal Press Ltd.


【レーザー治療に対する優越性の検証】
VIVID-DME試験(日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験)
VISTA-DME試験(海外第Ⅲ相試験、海外データ)

バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIVID-DME試験、海外第Ⅲ相試験:VISTA-DME試験(外国人)]承認時評価資料

試験概要

目的

中心窩に及ぶDMEを有する患者を対象に、アイリーアの有効性について黄斑レーザー光凝固術に対する優越性を検証するとともに、安全性および忍容性についても検討する

試験デザイン

無作為化二重遮蔽比較対照試験

試験対象

DMEを有する患者 VIVID-DME試験:406例(うち、日本人は77例)、VISTA-DME試験:466例

[主な選択基準]1型あるいは2型糖尿病を有する18歳以上の男女かつ

  • 試験眼に、黄斑の中心窩(OCTで測定される黄斑の中心部領域)に及ぶDMEを有する
  • 試験眼にDMEが原因の視力低下を有する
  • スクリーニング時における試験眼のETDRS視力表による最高矯正視力文字数が73~24文字(スネレン視力で20/40~20/320)
  • 試験眼のOCTによる網膜厚が300μm以上(VIVID-DME試験のみ) など

[主な除外基準]

  • 試験眼に網膜硝子体手術や強膜バックリング(VIVID-DME試験のみ)による治療歴を有する
  • 試験眼に初回投与日の前90日以内に、汎網膜光凝固術または黄斑レーザー光凝固術による治療歴を有する
  • 試験眼に黄斑レーザー治療を過去3回以上実施(VIVID-DME試験のみ)、またはレーザー治療による効果が期待できないと試験担当医師が判断
  • 試験眼に初回投与日の前120日以内に、眼内または眼周囲に副腎皮質ステロイド剤による治療歴を有する
  • 試験眼(VIVID-DME試験ではいずれかの眼)に初回投与日の前90日以内に、VEGF阻害剤による治療歴を有する
  • 試験眼に活動性のPDRを有する
  • コントロール不良の糖尿病を有する(VIVID-DME試験:HbA1c12%超、VISTA-DME試験:試験担当医師の判断)
  • コントロール不良の高血圧(座位での収縮期血圧160mmHg超、または拡張期血圧95mmHg超)を有する
  • 初回投与日の前180日以内に、脳血管障害または心筋梗塞の既往を有する
  • 透析または腎移植を必要とする腎不全を有する など
投与方法

対象患者を、アイリーア投与群(4週ごと投与群、8週ごと投与群)およびレーザー治療群の3群に無作為に割り付けた。アイリーア4週ごと投与群では、アイリーア2mgを4週ごとに投与した。アイリーア8週ごと投与群では、アイリーア2mgを4週ごとに5回投与した後、24週目以降は8週ごとに投与した。
レーザー治療群では黄斑レーザー光凝固術による治療をベースライン時に1回行い、12週目以降はレーザー再治療基準に従い、再治療を12週間に1回を超えない頻度で必要に応じて実施した(4週ごとに偽注射も実施)。

主な有効性評価項目

主要評価項目:

52週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量

副次評価項目:

52週目にベースラインから10文字以上の視力改善がみられた患者の割合
52週目にベースラインから15文字以上の視力改善がみられた患者の割合
52週目におけるETDRS糖尿病網膜症の重症度スコアが2段階以上低下した患者の割合
52週目における中心網膜厚(CRT)のベースラインからの変化量
52週目におけるNEI VFQ-25「近見視力による行動」サブスケールスコアのベースラインからの変化量
52週目におけるNEI VFQ-25「遠見視力による行動」サブスケールスコアのベースラインからの変化量

追加評価項目:

100および148週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量、100および148週目におけるCRTのベースラインからの変化量 など

主な安全性評価項目

有害事象、副作用、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡、APTC定義による動脈血栓塞栓事象 など

解析計画

検証的な解析

主要評価項目(FAS):アイリーア投与群のレーザー治療群に対する優越性の検証(両側有意水準2.5%)
副次評価項目(FAS):同上。ただし、検定の多重性を考慮し、主要評価項目で優越性が検証された場合に限り、事前に定めた順序(①から昇順)に従い検定を行う。

探索的な解析

追加評価項目(FAS)
部分集団解析:日本人の部分集団解析、糖尿病罹病期間別、ベースライン時のHbA1c別の部分集団解析 など

利益相反

本研究はRegeneronおよびBayer HealthCareの支援により行われた。支援には試験のデザイン作成、実施、データ解析、原稿作成などが含まれる。
本論文の著者のうち7名(#1)または6名(#2)はRegeneronあるいはBayer HealthCareの社員である。著者には、Regeneron、Bayer HealthCare、あるいはSantenからコンサルタント料、研究資金などを受領している者が含まれる。

#1
Brown DM, et al.: Ophthalmology. 2015; 122: 2044-2052.©with permission from Elsevier
#2
Heier JS, et al.: Ophthalmology. 2016; 123: 2376-2385.©with permission from Elsevier
アイリーア投与群は初回投与日にレーザー偽照射を実施し、12週目以降にレーザー再治療基準を満たす場合はレーザー偽照射を実施した。

OCT(optical coherence tomography):光干渉断層計
PDR(proliferative diabetic retinopathy):増殖糖尿病網膜症
FAS(full analysis set):最大の解析対象集団
NEI VFQ-25(National Eye Institute 25-item Visual Function Questionnaire):米国国立眼病研究所の25項目からなる視覚機能についてのアンケート
中心網膜厚(CRT:central retinal thickness):中心サブフィールド(中心窩から直径1mmの範囲)の網膜厚

<52週:主要評価項目>
最高矯正視力文字数の変化量の推移

VIVID-DME試験

52週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、アイリーア4週ごと投与群で+10.5文字、8週ごと投与群で+10.7文字であり、レーザー治療群に対する優越性が検証されました

グラフ:最高矯正視力文字数の変化量の推移(VIVID-DME試験)

VISTA-DME試験

52週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、アイリーア4週ごと投与群で+12.5文字、8週ごと投与群で+10.7文字であり、レーザー治療群に対するアイリーア投与群の優越性が検証されました

グラフ:最高矯正視力文字数の変化量の推移(VISTA-DME試験)
最終評価スコア外挿法:欠測値は欠測前の最後の測定値を用いて補完した。なお、追加治療を受けた患者では、追加治療を受ける直前の測定値により補完した。
治療群および地域を固定効果、最高矯正視力文字数のベースライン値を共変量としたANCOVAモデル
※※
治療群および心筋梗塞または脳血管障害の既往を固定効果、最高矯正視力文字数のベースライン値を共変量としたANCOVAモデル

バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIVID-DME試験、海外第Ⅲ相試験:VISTA-DME試験(外国人)]承認時評価資料

<52週:副次評価項目>
CRTの変化量の推移

VIVID-DME試験

52週目におけるCRTのベースラインからの変化量は、アイリーア4週ごと投与群で-195.0μm、8週ごと投与群で-192.4μmであり、いずれのアイリーア投与群もレーザー治療群に対して優越性が検証されました

グラフ:CRTの変化量の推移(VIVID-DME試験)

VISTA-DME試験

52週目におけるCRTのベースラインからの変化量は、アイリーア4週ごと投与群で-185.9μm、8週ごと投与群で-183.1μmであり、いずれのアイリーア投与群もレーザー治療群に対して優越性が検証されました

グラフ:CRTの変化量の推移(VISTA-DME試験)
最終評価スコア外挿法:欠測値は欠測前の最後の測定値を用いて補完した。なお、追加治療を受けた患者では、追加治療を受ける直前の測定値により補完した。
治療群および地域を固定効果、CRTのベースライン値を共変量としたANCOVAモデル
※※
治療群および心筋梗塞または脳血管障害の既往を固定効果、CRTのベースライン値を共変量としたANCOVAモデル

バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIVID-DME試験、海外第Ⅲ相試験:VISTA-DME試験(外国人)]承認時評価資料

<100週、148週:追加評価項目>
最高矯正視力文字数の変化量の推移

VIVID-DME試験

148週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、アイリーア4週ごと投与群で+10.3文字、8週ごと投与群で+11.7文字でした(主要解析:LOCF)

グラフ:最高矯正視力文字数の変化量の推移(VIVID-DME試験)

VISTA-DME試験

148週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、アイリーア4週ごと投与群で+10.4文字、8週ごと投与群で+10.5文字でした(主要解析:LOCF)

グラフ:最高矯正視力文字数の変化量の推移(VISTA-DME試験)

PRN(pro re nata):必要に応じ、随時投与

最終評価スコア外挿法:
欠測値は直前の測定値を用いて補完した。なお、追加治療後の測定値は打ち切りとし、追加治療を受ける直前の測定値により補完した。
ただし、100週目以降のレーザー治療群のPRN投与は打ち切りとはしない。
治療群および地域を固定効果、最高矯正視力文字数のベースライン値を共変量としたANCOVAモデル

Heier JS, et al.: Ophthalmology. 2016; 123: 2376-2385. ©with permission from Elsevier

<100週、148週:追加評価項目>
CSTの変化量の推移

VIVID-DME試験

148週目におけるCSTのベースラインからの変化量は、アイリーア4週ごと投与群で-215.2μm、8週ごと投与群で-202.8μmでした(主要解析:LOCF)

グラフ:CSTの変化量の推移(VIVID-DME試験)

VISTA-DME試験

148週目におけるCSTのベースラインからの変化量は、 アイリーア4週ごと投与群で-200.4μm、8週ごと投与群で-190.1μmでした(主要解析:LOCF)

グラフ:CSTの変化量の推移(VISTA-DME試験)

CST:中心サブフィールド網膜厚(中心1mmの範囲)、本試験においてCRTと同義
PRN(pro re nata):必要に応じ、随時投与

最終評価スコア外挿法:
欠測値は直前の測定値を用いて補完した。なお、追加治療後の測定値は打ち切りとし、追加治療を受ける直前の測定値により補完した。
ただし、100週目以降のレーザー治療群のPRN投与は打ち切りとはしない。
治療群および地域を固定効果、CSTのベースライン値を共変量としたANCOVAモデル

Heier JS, et al.: Ophthalmology. 2016; 123: 2376-2385. ©with permission from Elsevier

安全性(52週間:VIVID-DME試験、52/100週間:VISTA-DME試験、148週間:VIVID-DME試験およびVISTA-DME試験併合解析)

VIVID-DME試験1)

52週間において、すべての有害事象は、アイリーア4週ごと投与群で119例(87.5%)、8週ごと投与群で119例(88.1%)に認められました

有害事象

アイリーア4週ごと投与群で136例中119例(87.5%)、8週ごと投与群で135例中119例(88.1%)、レーザー治療群で133例中112例(84.2%)に認められた

主な有害事象

アイリーア4週ごと投与群:結膜出血33例(24.3%)、鼻咽頭炎25例(18.4%)、糖尿病性網膜浮腫23例(16.9%)、視力低下19例(14.0%)、高血圧16例(11.8%)、眼圧上昇14例(10.3%)など
アイリーア8週ごと投与群:結膜出血34例(25.2%)、鼻咽頭炎22例(16.3%)、視力低下21例(15.6%)、高血圧19例(14.1%)、糖尿病性網膜浮腫17例(12.6%)、網膜出血15例(11.1%)、網膜滲出物14例(10.4%)など
レーザー治療群:視力検査異常25例(18.8%)、視力低下22例(16.5%)、鼻咽頭炎20例(15.0%)、高血圧17例(12.8%)など

試験薬に関連する重篤な有害事象

アイリーア4週ごと投与群:虚血性脳卒中1例
アイリーア8週ごと投与群:高血圧性心疾患1例
レーザー治療群:腸炎1例

試験薬に関連する投与中止に至った有害事象

アイリーア4週ごと投与群:虚血性脳卒中・心筋虚血・脳梗塞 各1例
アイリーア8週ごと投与群:腎機能障害・末梢動脈閉塞性疾患 各1例
レーザー治療群:腸炎・突然視力消失・非感染眼内炎 各1例

試験薬に関連する死亡

アイリーア8週ごと投与群:高血圧性心疾患1例

VISTA-DME試験1)

52週間において、すべての有害事象はアイリーア4週ごと投与群で142例(91.6%)、8週ごと投与群で139例(91.4%)に認められました

有害事象

52週間において、すべての有害事象はアイリーア4週ごと投与群で155例中142例(91.6%)、8週ごと投与群で152例中139例(91.4%)、レーザー治療群で154例中146例(94.8%)に認められた。100週間においては、アイリーア4週ごと投与群で155例中152例(98.1%)、8週ごと投与群で152例中148例(97.4%)、レーザー治療群で154例中150例(97.4%)に認められた

主な有害事象

アイリーア4週ごと投与群:結膜出血60例(38.7%)、高血圧38例(24.5%)、眼痛23例(14.8%)、硝子体浮遊物19例(12.3%)など
アイリーア8週ごと投与群:結膜出血45例(29.6%)、高血圧28例(18.4%)、眼痛19例(12.5%)、黄斑線維症17例(11.2%)など
レーザー治療群:結膜出血55例(35.7%)、高血圧34例(22.1%)など

試験薬に関連する重篤な有害事象

アイリーア4週ごと投与群:脳幹卒中・脳血管発作・心停止 各1例
アイリーア8週ごと投与群:眼圧上昇・脳血管発作 各1例
レーザー治療群:脳血管発作1例

試験薬に関連する投与中止に至った有害事象

アイリーア4週ごと投与群:脳幹卒中1例

試験薬に関連する死亡

アイリーア4週ごと投与群:心停止・脳血管発作 各1例

VIVID-DME試験およびVISTA-DME試験併合解析2)

148週間において、全アイリーア群で、試験眼にみられたすべての重篤な有害事象は43例(7.4%)、全身性のすべての重篤な有害事象は252例(43.6%)に認められました

試験眼にみられたすべての重篤な有害事象:主な内訳

アイリーア4週ごと投与群 291例中25例(8.6%):白内障9例(3.1%)、硝子体出血4例(1.4%)、網膜剥離3例(1.0%)、網膜血管障害、眼内炎、白内障手術各2例(0.7%)
アイリーア8週ごと投与群 287例中18例(6.3%):白内障6例(2.1%)、硝子体出血3例(1.0%)、網膜剥離、嚢下白内障各2例(0.7%)、網膜動脈閉塞症、視力低下、眼内炎、眼内圧上昇、視野欠損、白内障手術各1例(0.3%)
レーザー治療群 287例中18例(6.3%):硝子体出血5例(1.7%)、糖尿病網膜症4例(1.4%)、網膜血管新生3例(1.0%)、白内障手術2例(0.7%)

すべての全身性の重篤な有害事象:主な内訳

アイリーア4週ごと投与群 291例中128例(44.0%):うっ血性心不全11例(3.8%)、貧血、急性腎障害各10例(3.4%)、蜂窩織炎、脳血管イベント各9例(3.1%)、心筋梗塞8例(2.7%)
アイリーア8週ごと投与群 287例中124例(43.2%):蜂窩織炎10例(3.5%)、急性腎障害9例(3.1%)、貧血、うっ血性心不全、肺炎各7例(2.4%)、脳血管イベント6例(2.1%)
レーザー治療群 287例中116例(40.4%):急性腎障害9例(3.1%)、蜂窩織炎、急性心筋梗塞各7例(2.4%)、うっ血性心不全、骨髄炎、高カリウム血症 各6例(2.1%)、脳血管イベント、腎不全 各5例(1.7%)

148週目までに発現したAPTC-ATEs:主な内訳

全アイリーア群 578例中52例(9.0%):非致死性心筋梗塞19例(3.3%)、非致死性脳卒中18例(3.1%)、血管死17例(2.9%)
アイリーア4週ごと投与群 291例中31例(10.7%):非致死性心筋梗塞10例(3.4%)、非致死性脳卒中11例(3.8%)、血管死11例(3.8%)
アイリーア8週ごと投与群 287例中21例(7.3%):非致死性心筋梗塞9例(3.1%)、非致死性脳卒中7例(2.4%)、血管死6例(2.1%)
レーザー治療群 287例中22例(7.7%):非致死性心筋梗塞9例(3.1%)、非致死性脳卒中10例(3.5%)、血管死4例(1.4%)

有害事象発現例数(%)

APTC-ATEs:Anti-Platelet Trialists’ Collaborationが定義する動脈血栓塞栓事象、遮蔽委員会が判定
1)
バイエル薬品社内資料[日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験:VIVID-DME試験、海外第Ⅲ相試験:VISTA-DME試験(外国人)]承認時評価資料
2)
Heier JS, et al.: Ophthalmology. 2016; 123: 2376-2385.

ENDURANCE延長試験
第Ⅳ相試験(多施設共同、オープンラベル延長試験、海外データ)

Wykoff CC, et al.: Br J Ophthalmol. 2018; 102: 631-636.

試験概要

目的

VISTA-DME試験を完了した患者を対象に、第Ⅲ相試験で示されたアイリーアの有効性および安全性が、必要に応じた個別化治療によって維持されるか否かを検討する。

試験デザイン

第Ⅳ相、多施設共同、オープンラベル延長試験

試験対象

DMEを有する1型または2型糖尿病患者で、主要4施設でVISTA-DME試験を完了した患者60例

投与方法

対象に必要に応じてアイリーア2mgを硝子体内投与(PRN投与)し、2年間追跡した。

  • 52週目まで:受診間隔は疾患活動性に基づき決定した。4週ごとに受診を開始するが、連続3回の受診でアイリーア投与不要の場合は、受診間隔を8週、12週ごとと段階的に延長した。ただし、再発時にはアイリーアを投与し、受診間隔は4週ごとに短縮した。再度連続3回の受診でアイリーア投与不要の場合、8週ごとに延長した。
  • 52週目以降:アイリーアの投与不要と判断された場合は、受診間隔を16週、20週ごとに延長した。ただし、受診間隔が12週を超えた時点で再発が認められた場合には、アイリーアを投与し、医師の判断によって受診間隔を短縮した。受診間隔を4あるいは8週まで短縮する必要があれば、52週までの基準に従い受診間隔を調節した。
主な有効性評価項目

2年間のアイリーア投与回数
最高矯正視力文字数およびCRTのベースラインからの変化量
糖尿病網膜症の進展 など

主な安全性評価項目

眼に関連する有害事象、重篤な有害事象 など

解析計画

統計的な比較には、連続変数にはstudent’s t検定または分散分析、カテゴリー変数にはχ2検定またはロジスティック回帰分析を用いた。

利益相反

本研究はRegeneronの支援により行われた。本論文の著者には、Bayer、Santen、Regeneronによりコンサルタント料、研究資金などを受領している者が含まれる。

<主な有効性評価項目>
最高矯正視力文字数の変化量の推移

ENDURANCE延長試験の104週目における最高矯正視力文字数の変化量は+0.8文字でした

グラフ:ENDURANCE延長試験 - 最高矯正視力文字数の変化量の推移

<主な有効性評価項目>
CRTの変化量の推移

グラフ:ENDURANCE延長試験 - CRTの変化量の推移

Adapted by permission from BMJ Publishing Group Limited.
Br J Ophthalmol, Wykoff CC, et al. 2018; 102: 631-636. copyright 2017

<52週間、104週間:主な安全性評価項目>
安全性

52週間において、眼に関連する有害事象は30例(50%)、全身性の重篤な有害事象は22例(37%)に認められました。104週間において、眼に関連する有害事象は硝子体出血6例(11%)、中間周辺部における新生血管3例(6%)など、重篤な有害事象は硝子体出血に伴う急性視力低下2例(4%)などが認められました

有害事象発現率(52週間)1)

表:ENDURANCE延長試験 - 安全性:有害事象発現率(52週間)

有害事象発現率(104週間)2)

表:ENDURANCE延長試験 - 安全性:有害事象発現率(104週間)
1)
Wykoff CC, et al.: Am J Ophthalmol. 2017; 173: 56-63 ©with permission from Elsevier
2)
Reproduced from Br J Ophthalmol, Wykoff CC, et al. 2018; 102: 631-636., copyright 2017 with permission from BMJ Publishing Group Ltd.

DMEを対象としたアイリーアの前向き臨床研究(観察期間:2年以上)
(2023年3月現在)

大規模臨床試験

表:ENDURANCE延長試験 - 大規模臨床試験
a)
比較試験(上表内で、投与法・治療法の比較が行われているもの)
b)
ラニビズマブからの切り替え
c)
比較試験(vs. ラニビズマブ)
d)
1年目まで定期的投与
e)
1年目の定期的投与以降
f)
比較試験(vs. ブロルシズマブ)

実臨床下での使用経験

表:ENDURANCE延長試験 - 実臨床下での使用経験
a)
網膜光凝固併用 
b)
Tranらの報告における2年目の投与はT&EまたはObserve and Planであった
T&E:
Treat and Extend
1)
Heier JS, et al.: Ophthalmology. 2016; 123: 2376-2385.
2)
Wykoff CC, et al.: Br J Ophthalmol. 2018; 102: 631-636.
3)
Garweg JG, et al.: Adv Ther. 2022; 39: 2701-2716.
4)
Wells JA, et al.: Ophthalmology. 2016; 123: 1351‒1359.
5)
Baker CW, et al.: JAMA. 2019; 321: 1880-1894.
6)
Jhaveri CD, et al.: N Engl J Med. 2022; 387: 692-703.
7)
Khalil H, et al.: J Ophthalmol. 2023; 2023: 3165965.
8)
Hirano T, et al. : Sci Rep. 2021; 11: 4488.
9)
Curry BA, et al. : Ophthalmol Ther. 2020; 9: 87-101.
10)
Kim YC, et al. : Sci Rep. 2020; 10: 22030.
11)
Tran THC, et al. : Clin Ophthalmol. 2022; 16: 603-609.
12)
Tatsumi T, et al. : Sci Rep. 2022; 12: 10672.
13)
Sivaprasad S, et al. : Eye. Epub ahead of print (2023)
14)
Korobelnik JF, et al. : Sci Rep. 2022; 12: 18242.

まとめ

患者さんの視力改善ニーズ(海外データ)1,2)

DME患者さんは、日常活動のさまざまな面で困難を報告しており、特に読書(57%)と運転(39%)での不便さを訴えていました。また、抗VEGF薬治療において、良好な視力の達成がDME患者さんにとって最も高い治療ニーズでした。

アイリーアは、大規模臨床試験や複数の実臨床試験において、長期(2年以上)にわたる視力および浮腫に対して検討した結果が報告されています

VIVID-DME試験およびVISTA-DME試験併合解析(海外データ)3)より

VIVID-DME試験での148週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、アイリーア4週ごと投与群で+10.3文字、8週ごと投与群で+11.7文字でした(主要解析:LOCF)。

VISTA-DME試験での148週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、アイリーア4週ごと投与群で+10.4文字、8週ごと投与群で+10.5文字でした(主要解析:LOCF)。

148週間において、全アイリーア群で、試験眼にみられたすべての重篤な有害事象は43例(7.4%)、全身性のすべての重篤な有害事象は252例(43.6%)に認められました。

VIVID-DME試験およびVISTA-DME試験併合解析(海外データ)3)より

VIVID-DME試験での148週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、アイリーア4週ごと投与群で+10.3文字、8週ごと投与群で+11.7文字でした(主要解析:LOCF)。

VISTA-DME試験での148週目における最高矯正視力文字数のベースラインからの変化量は、アイリーア4週ごと投与群で+10.4文字、8週ごと投与群で+10.5文字でした(主要解析:LOCF)。

148週間において、全アイリーア群で、試験眼にみられたすべての重篤な有害事象は43例(7.4%)、全身性のすべての重篤な有害事象は252例(43.6%)に認められました。

1)
Fajnkuchen F, et al.: Acta Diabetol. 2020; 57(9): 1081-1091.
2)
Bhagat D, et al.: Clinical Ophthalmology. 2020; 14: 2975-2982.
3)
Heier JS, et al.: Ophthalmology. 2016; 123: 2376-2385.
4)
Wykoff CC, et al.: Br J Ophthalmol. 2018; 102: 631-636.